ふそ
ハリケーン家族の功績
新しい手帳を使い始め、そろそろ一月が経つ。
やはり最初のうちはきれいに使いたいもので、ちょっとしたメモや予定書きなどもわりと丁寧に書いている。この先一度でも乱れた文字を書いてしまえば、後はいつものように自分でも解明できない雑記帳と化すだろう。ただ今のところ、手帳はまだきれいなままだった。
手帳の例に限らず、何でも最初のうちは丁寧に扱う。そう考える人が多いと思う。
しかし中にはそうでない人もいる。
知り合いにM君という男がいた。彼はとにかく物の使い方が荒い。と言うか、物を一切大事にしない。
買ったばかりの新車は三日ほどで傷だらけにしたし、携帯電話はすぐ落とす。ノートパソコンは乱暴に閉じる。そしてその割には物の調子が悪くなると保証期間内にクレームをつけ、新品に交換してもらう。もしくは無償で修理を依頼する。簡単に言うとM君はそんな男だった。
ちょっと古い話だが、そんなM君から連絡が入った。
それは今から四年前、僕が今の家に越してきてすぐの頃だった。引越しの荷物が片付き、部屋に合う家具を購入し、ようやく落ち着いた所だった。妻と息子と「きれいに住もうね」なんて話していた時だった。
突然電話をしてきたM君は「今から家族と遊びに行っていいか?」と聞いてきた。はっきり言って血の気が引く思いだった。
以前M君は「うちの奥さん、物を大事にしないんだよね」と言っていた。僕に言わせればM君だって相当なものだったが、その上を行く奥さんって一体……
そんな家族が僕の家にやって来る。スパッと断ればよいのだが、ノーと言えない日本人代表の僕にそんな事はできなかったsvenson史雲遜護髮中心。
そしてついにM君一家はやってきた。奥さんと幼稚園児の息子さん、そして娘さんの四人で。
奥さんは急な来訪を詫びた。想像していたよりも控えめな奥さんだった。二人の子供もきちんと挨拶をした。そしてすぐに僕の息子とうちとけ、三人で遊びだした。僕はとりあえずほっとした。M君は近況を話しだした。彼も随分落ち着いたみたいだった。
妻がお茶とお菓子を用意した。そのあたりから彼らの本性が現れた。
まずは子供二人がお菓子を見て奪い合いを始めた。お茶がこぼれ、湯飲みが割れた。奥さんが怒って人の家のテレビのリモコンを投げつけた。M君は部屋が薄暗いと言ってレースのカーテンを乱暴に引いた。和室で子供二人が障子を破った。僕は一人、真っ白になっていた。
そして嵐のような二時間が過ぎ去っていった生髮秘方。
「そろそろ帰るわ」とM君が言った。「うん、そうして」と僕は心の中で言った。
奥さんと子供達はまだはしゃいでいた。それを見てM君が叱った「挨拶しろ!終わり良ければすべて良しだ!」と。いや、良くないし全然。
最後に彼らは丁寧に来訪の礼を言い、帰って行った。とても礼儀正しかった。残された部屋の中はまるで台風一過だった。
部屋を片しながら、僕は妻に謝った。妻は多少引きつりつつも笑ってくれた。息子が穴だらけの障子を指さした「どうするの、これ?」まあ張り替えるしかないだろう。
どうせ張り替えるなら、と僕は色々な思いを込め、破れていない部分にパンチをした。これが結構すっきりした。それを見て妻と息子もパンチをした。意外と面白く、つい熱中してしまった。そしてそのおかげで引越し後の、ある種の緊張感が消えていったnu skin如新。
雑多なメモで手帳が馴染み、いずれ自分の物となるように、この瞬間家が「わが家」へと変わった気がした。もちろんだからと言ってM君には全然感謝しないけど……ね。